
不安な未来に希望や恐れを重ねる心理とは、地震予知、経済崩壊、世界の終末、運命の人との出会い…。私たちはなぜ、根拠が不明な「予言」に惹かれてしまうのでしょうか? それには、科学では説明しきれない人間特有の心理的傾向が関係しています。
不確かな未来が「信じたくなる心」を生む
人間は本質的に、「未来がわからないこと」に強い不安を感じます。この不安を和らげるため、たとえ曖昧でも「未来を教えてくれる」とされる情報にすがりたくなるのです。これが、予言を信じてしまう第一の理由です。
特に、災害・戦争・景気後退といった社会不安が高まると、人々は確実性を求めてスピリチュアルや陰謀論、預言者の言葉に引き寄せられやすくなります。
バーナム効果と予言の罠
多くの予言には、誰にでも当てはまりそうな曖昧な表現が使われています。例えば、「今年はあなたにとって大きな転機となるでしょう」という言葉。これは受け取る側の状況や気持ちによって、いくらでも「当たっている」と感じさせられるのです。
この現象は心理学で「バーナム効果」と呼ばれています。
「予言が当たった」ように見える錯覚
人は、当たった予言ばかりを覚え、外れたものは忘れる傾向があります。さらに、後から出来事を解釈し直して「これは予言通りだった」と思い込むこともあります。
このような選択的記憶と解釈の柔軟性が、予言の信憑性を無意識に高めてしまうのです。
予言を信じることのリスク
もちろん、予言を信じることが必ずしも悪いわけではありません。しかしそれが冷静な判断力を失わせたり、過剰な恐怖や期待を生むと、人生に悪影響を及ぼすこともあります。「自分の未来は自分で決められる」という現実的な視点を忘れないようにしたいものです。